どのくらいしただろう。 「寒い……」 気付けば空から雪が降ってきていて。 目の前が白い世界に変わった。 「――…っ」 その時、急に襲ってきたむなしさに、 目の前がだんだんとボヤけていく。 「――…っふ、…うっ」 頬を暖かい何かが伝って。 ポタポタッと目からこぼれ落ちる雫が足元を濡らしていく。 嗚咽が漏れないように、口元を手で押さえた。 「もぅ…っ、ダメなのかなぁ……っ」 震える声でそう呟く。 だけど、 その呟きは誰の耳にも届くことはなく、 キラキラ光る夜の世界に消えていった。