「そんなに頑張らなくてもいいよ」

私はそう声をかけてあげる。
彼はあまり自分から話すようなタイプではないのに、こんなことを続けさせるのも酷だと思ったから。

「君の目的はわかってる。今頃、美紅ちゃんがここに向かってるんでしょ」

私が薄く笑いながら言うと、豊くんは無理に作ろうとして失敗した愛想笑いをやめた。

いつもの仏頂面で私を見る。その瞳は怒りで燃えていた。

「大丈夫大丈夫。私は逃げも隠れもしないから」


今は逃げる意味がない。だからどんどん追い込んでくれればいい。


私は豊くんと再会した公園で、美紅ちゃんの登場を待っていた。