「っ!」
勢いよく振り返る。
昼は昼、夜は夜とで人の多いこの街。
人混みの中から、謎の視線というか、殺気を感じた。
何人もの人に命を狙われることはあったけど、ここまで凄まじいものは初めての気がする。
「……」
思わず自分の目を疑った。
まさか、と思った。
ここにいるはずがない。
目を擦ってもう一度見る。
確かにあいつだし、向こうも確実に私を見ていた。見ていたなんてかわいらしいものじゃない、睨みつけていた。
睨みつけ、手の関節を鳴らしながらこっちに歩いてくる。
「……うっそぉ」
「嘘じゃねえよ」
相変わらず高い身長、長い脚。
あっという間に私の目の前に現れた。


