「久しぶりだね」

「……?」

「私のこと覚えてない? それとも格好が変わったからわからないのかな?」

大学の食堂。
イタズラに笑いながら尋ねてくる千葉さんの質問に、僕は首を横に振った。

こんな容姿の人、忘れるわけもなければ見間違うはずもない。

「あの…僕に何の用ですか…?」

電車で一度会った。ただそれだけの関係。
だから、千葉さんが僕のことを覚えてることに驚きを隠せないし、わざわざ会いに来てくれたことが不思議で仕方ない。


ニコリ。千葉さんはそんな動揺する僕に綺麗に笑ってくれた。