「ってことは、お嬢の心を弄んだってことだな?」

「へ? あ!」

男は大馬鹿ものだったらしい。
そりゃ全て言っちゃえばそうなる。
そもそもあんな杜撰な計画の穴を見つけられなかった男が、賢明なわけないか。

「それは違っ!」

「ひどい! 私、信じてたのに!」

組長の娘も、男を敵視した。
あーあ、もうお終いかな?

「違! 俺、本当にお前のこと!」

「今さら遅いわよ!」

組長の娘の怒りの拳が、土下座状態から顔だけを上げていた男の顎に当たり、見事なアッパーとなった。

土下座していた男は、仰け反り、そのまま仰向けに倒れる。なんて威力だ。



意識を失った男はヤクザ達にどこかに連れていかれた。女は丁重に扱われ、私が乗っているのとは別の車に乗り込んだ。

この計画で想定外だったことは三つ。
予想以上に計画が上手くいったこと、想定以上に男は馬鹿だったこと、キレた女は怖いということ。

面白い収穫だった、かな。