部屋の外から、
階段を上がる音がして、

続いてドアをノックされる。

「起きましたか?」

「今、起きた。」

返事すると、ドアを開けて
兄貴が顔を覗かせた。

「お早うございます。

2人共、昨日は ぐっすりでしたね。」

「兄貴、布団サンキューな。」

「…俺まで
すみませんでした…。」

兄貴は、にっこり笑う。

「あんまり気持ち良さそうに

2人仲良く眠っていたから、

起こすのも可哀想かと思って…。

昨日、夕飯食べてないから
お腹空いたでしょう?」


「今日の朝飯、何っ?」


「ホットケーキですよ。

勿論、
ハチミツと木苺のジャム付きです。」

それを聞いて、
オレは布団から跳ね起きた!!

やった♪
オレの大好物だっ♪

ダッシュで洗面所に行き、
顔を洗ってリビングに行くと…。


食卓の椅子に座り、
足を組んだ彼方先生が

新聞に目を通しつつ、
優雅にコーヒーを飲んでいた。



………朝の食卓で
新聞にコーヒーってのが、
下手すると親父臭く見えてもおかしくないはずなのに…。

何で、こいつがやると

「若いエリート社長のスタイリッシュな休日の朝の一時」
風に見えてしまうんだ…。