「日向。」

椅子にオレを座らせて、

ファイルを机に置くと、

彼方先生は
ものすげー怖い顔して振りかえる。

「私は言ったはずだ…。

力の揺らぎを感じたら、
側にいる者と

『力の交換』をしろと…。」

「お、オレ、別に力が揺らいでるとか

そーゆーんじゃ…。」

無言で鏡を差し出されて
覗きこむと…

髪は変化してないけど、

目の色だけオレンジ色になってる…。

「力の揺らぎが起こっている証拠だ…。

人前で、
もし突然、
髪の色が変わったら……

どう言い訳するつもりだ。」

「そ、それは……。」

今日は、朝から
感情を抑える事に必死で…

「力の揺らぎ」ってやつに
気付かなかった訳だし………。

「凛は、どこにいる。」

「え…?
多分…音楽室に…。」


その時、勢いよく引き戸が開き、凛が走り込んできた。