そんな訳で

こいつは今日も
オレにバナナを渡しては

憎らしい冷たい笑顔を
浮かべて

こちらをじーっ…
っと眺めている。


「大体、なんでバナナなんか持ってんですか…」

「昼に職員室で渡された。
誰かは興味ないが
実家から大量に送られてきたらしい…。

嬉しいか?」

嬉しかねーよ!

いい加減、
こいつに付き合って
馬鹿にされてんのにも

限界を感じたオレは、

さっさと靴下をはいて、
教室に戻る事にした。


部活の方は
このまま帰っていいって

先輩から言われてたし、

どのみち、
もー終了時間も
近かった。

「…んじゃ、
ありがとうございました。」

わざと丁寧にお辞儀して

痛めた方の足を
軽く庇いながら
ドアを開ける。