虹色の騎士団


「おはよう。」

門の前で、いつものように凛が待っている。

ドキン………!!!

し、静まれ、オレ……

じゃなくて、ヒナタの感情っ!!!

「お…はよ。」

「よく眠れたか?」

オレの表情を確かめる為に、
凛がひょいっ!!っと顔を近付けてきた。


「うわぁっ!!!!」

緊張のあまり、
思わず飛び退いてしまう…!

駄目だって…!!

「……?」

ほら見ろっ!!
変な顔されてるじゃん!!!

「ごめん!!

何でもないっ!!」

「……なら、いいけど………。」

「さっさと行こう!!
遅刻するからっ!!」

早足で歩き出すと、
当然、
凛も後についてくる。


つ、疲れる………。


授業中も、

凛の背中をぼーっと眺めて、
耳と顔が熱くなるし、

部活では、
凛が弾くコントラバスの音色に
うっとりと聞き惚れる………。

…勘弁してくれよ……!!


感情のコントロールに疲れはてたオレは、

音楽室を離れ、

手洗い場のふちに手をかけて、
ぐったりと肩を落とす。


ヒナタとしての人格や
意識があるなら、
まだ楽なのかもしんねーけど、


昔、ヒナタが持っていた感情と思い出だけが
オレの中に溢れてるもんだから、

すんげーキツい…。


「……夜野。

こんな所で何をしている…。」

振り向くと、

ファイルを持った彼方先生が
廊下の角から
こっちを見ている。

……偶然、通りがかった…って所か…。

「先生………。」

近寄って来て、
オレの顔色を見るなり、

先生は表情を引き締めた。

「来い。」

そう言うなり、
オレの腕を掴む。

「えっ?
なに……?!」

「煩い…。黙れ。」

問答無用で保健室まで連れていかれる。