虹色の騎士団

「お前ら、何なんだよ!!!!

泥に飲まれて、死んだんじゃなかったのかよっ!!!!!」

怒り狂うオレに、凛が溜め息を付く。

「…お前な…。

騎士の俺達が泥に飲まれた位で、
そんなに簡単に死ぬ訳ないだろ…。」

「だって…!!狐矢太も居なくなったから…っ!」

「日向……。」

このタイミングで後ろから虚夢の力に名前を呼ばれ、
思わず『ああんっ?!』って顔で振り返ってしまった…。

流石の虚夢の力も
オレの剣幕には少しびっくりしたみたいだ…。

「日向…。
あの美しき白狐は、

今は、カイリと共に私の中に居る…。」

「……はい?」

虚夢の力は、
申し訳ない…って顔になりながら、話しを続けた。

「小さなカイリの力だけでは、
私はこの世界で実体を持つ事が出来なかった…。

それ故に、
あの力のある白狐に助けてもらったのだが…。

…しかし
結果的に日向が混乱する原因の1つを作ってしまっていたとは……。

…先に伝えるべき事とも思わずに…

…許して欲しい…」

な、何だ…。

オレはガクッ…っと首を俯かせた。

いや…
勿論虚夢の力が居てくれなかったらヤバかったんだけど…

そっか…。

「最も…先生の水の力で地中に沈んだ後、

そのまま香澄の風の力と合わせて、ここより低い場所まで押し流してくれてなかったら…

少し危なかったけどね…。」

真宵が汚れた自分の髪をうっとおしそうに耳に掛けながらそう言うのを聞いて…考える。

そう言えば、あの時…

それまで沈むスピードが遅かったにも関わらず、

いきなり水中に潜るみたいに全員が地面に飲み込まれてた…。

「…私達を捕えた土が、沈む程柔らかい泥と水でなければ、この手は使えなかった。

普通ならば、どんなに水を使った所で、土に吸収されるだけだからな。」

先生にしては、珍しく長い説明をしてくれた。