虹色の騎士団

空から滲んだ赤黒い物が、
災厄の月の方にジワジワと集まり、

その穴の空いた鼻を修復し始める。


「私の力では、
あの程度が精一杯だ…。

あれを滅ぼせるのは、
唯一、乙女の歌だけ。」

虚夢の力にそう言われ、
オレは再び皆を飲み込んだ泥を見つめる。

結局…
皆がいなければ…ただ歌ったって意味がない…。

俯いたオレの両耳を手の平で挟み、
顔を上げさせてから虚夢の力は言った。

「よく耳をすませて…!

この空間に満ちた、
彼等の想いを聞くんだ、日向…!!」

塞がれたオレの耳に…声が響く……。

日向…!!!

日向、歌え!!!!

歌って……!!!!!

それは泥に沈む直前の皆の叫び…。

最後に…凛の声が聞こえた。

『ここで…ちゃんと聞いてるから…。

日向、歌ってくれ…!』


…オレの目から熱い涙がこぼれ落ちた。