虹色の騎士団

狂ったように、
凛が沈んだ泥を両手を使って掻き出す。

嫌だ………!!

こんなのは…嫌だ……………!!!

他の皆の所にも走っていって夢中で掘った。


その途中、視界に入ってきたのは…

カイリの側にいた筈の…狐矢太の姿まで消えてる事実……。

…契約者が…

この世界から居なくなったから…

……消えてしまったのか…?

…こんなのは悪い夢だ………!!

リビングで笑いながら、兄貴が作ったご飯食べて…

凛や真宵と学校に行って…

怪我したら保健室で彼方先生に手当てしてもらって………

勇武と一緒に、今度こそDVDをちゃんと見ながら色々話したり…

未来に…また変な事されて怒ったり…


そんな、オレの大切で幸せな普通の日常が…

こんなに簡単に…一瞬で…

全部…全部消えたなんて…


どんなに泥を掘ってみても、皆の姿はなく……。

オレは…両腕をだらり…とたらし、
泥の中に言葉もなく座り込んだ…。

皆の騎士の力もなく、
災厄を滅ぼす歌も歌えない……。

そして…
オレとカイリだけ残された…。

…残された…?

「ははっ…」

オレは小さく笑う。

残されたんじゃない。

これから災厄に…オレ達もやられるんだ。

舞乙女の魂は…災厄の月にとっては…

二度とない最高のご馳走……。