「日向。」

先生がオレに近付き、
抱っこしていたカイリを渡してくる。

「彼方先生…。」

「ここから先は、
私達がお前を守る…。

カイリはお前と一緒に居るのが…一番安全だろう。」

そう言って優しく微笑み、
オレとカイリの頭を撫でる。

ケーン!!

鳴き声が聞こえ、
狐矢太がオレの肩の横辺りに姿を現した。

「真宵…。」

「キミを守るのが俺達の指命。

狐矢太はキミの側にいた方が、きっと役に立つ。」

2人共、
オレを守る事ばっかり気にしてるのか…。

災厄を倒すのなら、
そうしなきゃいけないのは分かってるし、

オレが逆の立場だったとしても、そう考える。

だけど…。

「こらっ!
彼方、真宵君!何言ってるんですか!」

兄貴が明るい声で言うと、未来が後に続ける。

「そーだよー?
日向を守るのも大事だけどー、
自分の身も、しーっかり守らなきゃねー。」

「そうですよ!お2人共!
それに、
騎士がちゃんと全員いなきゃ、
日向さんの歌も意味がなくなるじゃないですか!!

まさか
香澄さんが折角分かりやすく教えてくれた事、
忘れちゃったんですかー?」

勇武が、
珍しくからかうような口調で言って、
笑いながら真宵の肩を叩く。