周りに人影のなくなった真夜中の河原。

オレ達は、
普段と変わらない服装で立っている。

レオンと凛が災厄と戦った時の記憶は、
勿論オレの中にもあり、

不気味な『化け物月』に通常の武器が効かないのも分かってる。

生きて帰って来る為に、オレ達に必要なのは

動き回る為の機動力、

災厄の攻撃から、
オレと各々を守るのに使う騎士の力。

…そして、
災厄を滅ぼす事が出来る唯一の物。

それは、舞乙女の持つ『歌の力』。

「日向君。」

兄貴に名前を呼ばれ、頷く。

「…今から夜の虹を。

あっちに渡る橋、かけるぞ…」

確認するように全員の顔を見渡す。

…当たり前だけど、
皆、真剣な顔をしてる。


…ちょっと前、
家のリビングで笑いながら食事したり、
お茶飲んでた時間が凄く遠く感じる。