虹色の騎士団

凛がオレの頬っぺを片手で優しく包み、顔を覗きこむ。

「お前は…。

お前は怖くないか…?」

オレはちょっと微笑む。

「怖くない訳、ねーじゃん。

あー…。
オレだって馬鹿みてーな事したい気分だよ。」

それを聞いて、凛がクスリ…と笑う。

「ああ。俺もだ。」

頬っぺを包む手の親指がオレの唇に触り、
なぞるように撫でる。

「今だけ…。

少し馬鹿な事していいか?」

凛の言ってる事の意味が分からなくて…。

少しだけ困っていたら、オレの返事を待つ事なく、
凛の唇が静かに下りてきてオレの唇に重なる。


ああ…、なんだ。

馬鹿な事ってこれか…。

怖い時って人の温もりがあると
不思議と安心するんだよな…。

小さい頃、怖い夢を見て泣いていると、

兄貴が必ず部屋に来て手を握ってくれて…。

オレが安心して眠るまで、側に居てくれたっけ…。

凛にキスされながら。

オレは、そんな事を思い出していた。