「お前の気持ちも分からなくはないが、
今回は奴等に任せる事だな。」

真宵は顔を上げ、
彼方に強い視線を向ける。

「それでもし…
レオンが勝つような事があったら…?」

「…そういう運命だったと諦めるしかあるまい。

私は他の奴のように、
生真面目には出来ていない…。

こちらの世界で災厄から隠れ
生活していく事になったとしても、
なんら抵抗は感じないだろう…。」

彼方の答えを聞き、
真宵は口元を押さえ笑う。

「ふふっ…。
あっさりと言い切ったね、先生…。

凛に聞かれたら、
それこそ怒りで燃やしつくされる意見だよ。」

彼方も「ふっ…」と微笑む。

「…問題ない。

他人は他人。私は私だ…。」

「先生って本当に
『オレ様、我が道を猛進する』って感じで…
笑えるよ…。」

「何か問題があるか…?」

「ううん…。
彼方先生らしくて俺は好きだよ…。」

2人はそれ以上話す事をせず、

各々自分の正面を見つめながら、ゆっくりと紅茶を飲んでいた…。