「兄貴ですか…?

今日も家に居ると思うし、
特に変わった事も
ないと思いますケド…」

聞かれるままに
オレが素直に
そう答えてやると、

何を思ったか、
やつはオレに

少し不審そうな顔を向けてきた。

そんな顔されたって、

変わらないもんは
変わらないんだから

そう言うしかない。

「いつも通り…?

最近、全く変わった様子は
、ないという事か…?」


「…?
はあ…多分…。」

間抜けなオレの返事を
聞くと、

ヤツは さも馬鹿したような表情を浮かべ、

「ふんっ!」
と、軽く
鼻で笑いやがった。


……ふん?

ふん。ってなんだよ!!
ふん。って!


「まあいい…。

…ああ、そうだ。夜野。
お前にいいものをやろう…。」

デスクの引き出しから
何か黄色い物を取りだし

オレに投げてよこす。

「……なんすか、これ」

「見てわからないのか…?

本気ならば、一度、視力の検査を…」


「見えてるっつーの!
これっ!
バナナだろっ!」

オレが握ってるのは、
一本のバナナ。

見間違いよーがあるはずもない。


「…一本では、不服か…」

「そーじゃなくて、
なんでバナナなんか
よこすんだって事だよ!」



言ってから、しまった!
と、思ったけど
時、既に遅し…。

案の定、ヤツは
いかにも「楽しげ」な
笑いを浮かべて言った。

「子猿にバナナ。
世間一般の見解では
これは、
正しいはずだが…?」