「日向、ゆっくり深呼吸して…。」

真宵の手が優しく頬っぺを撫でる。

「少し奥まで入るけれど大丈夫。
…緊張しないで…。」

抱きしめられると、真宵の髪からいい薫りがした。

「なんかオレ…。
こーゆーの初めてだし…。
…すげードキドキすんだけど…」

「怖がらないで。
俺に…任せて…。」


「…あのさー……。

何でー、そんなに艶っぽくする必要ある訳ー?」

以前の勇武の時同様、
ムスーっとした表情で未来が言う。

「そう見えるのは、
未来が欲求不満だからじゃないの?」

「…言うねぇ…真宵。」

「どういたしまして…。」

…ふふふ…と暗く笑い合う2人の背後に、
狐と狸が見える気がして……。

オレは目をゴシゴシ擦った。