「とうとうお前も知ったか…。

香澄さんの怖さを…。」

凛がしみじみと呟く。

「お前…知ってたのか?」

「…昔、彼方さんと下らない事で大喧嘩した時に一度だけ…な…。

まあ、今回のは完全に彼方さんの自業自得だ。

同情する気にもならない。」

アッサリと切り捨てる。

…あの後、
オレは『こっそりルート』を使って凛の部屋にやって来た。

あんな兄貴を見た後で早々に眠れる訳もないし、

何より勇武の事も考えてみたかったし…。

「それで?
彼方さんは最後になんて言ってたんだ?」

凛に促され、口を開く。

「…オレを大切に思うあまり、兄貴は臆病になり過ぎだ。

オレが兄貴を嫌うはずがないだろーって。

…それで、ちょっと考えたんだけどさ…。

もしかして勇武って相手を大切に思う程、
嫌われるのが怖くて…臆病になってんのかな…って。」

オレがそう言うと、凛は軽く微笑む。

「なんだ…。
お前の中で、もう答えは出てるじゃないか。」