虹色の騎士団

「ふ…。」

彼方は２人がたった今、逃げ込んだ風呂場の扉を見ながら、軽く笑う。

「彼方さん。
あの２人をからかって遊ぶのは程々にしてください。」

声を掛けられて振り向くと、香澄がリビングの扉を閉めて、こちらに歩いてきた。

「今のは勇武の台詞ではないな…。」

「…自分もそう思います。」

そう言って、香澄は悪戯っぽく微笑んだ。

「…所で。
この勉強会とやらは実のある物になりそうなのか…？」

「かっ！香澄さんが、そう言うなら間違いないですよ！！

………と、言いたい所ですけれど。

正直、僕にも分かりません。」

途中から元々の口調に戻し、香澄は首を横に傾げ、
困ったように眉元を少しだけ寄せる。

「今の日向君には、
皆の事をよく知ってもらうのも必要だと思いますし、

気持ちは紛れるとは思うんですが…。

それ以上の『何か』を期待出来るかは…。」

「…分析家にしては、らしくない台詞だな…。」

「…今までに例のない事ですからね…。

どんな事でも色々、
試していかないと何とも言えない所です」

「調査中…と言う訳か。」

「はい。
レオン君の魂が どうしたら目覚めるかなんて……。

…本当に分からない事だらけですね。」

「…目覚めるのを拒んでいる可能性も考えられるな…。」

予想もしなかった彼方の言葉に、香澄は少し驚く。
「まさか…
あのレオン君に限ってそんな…。」