虹色の騎士団

左手で、
自分の右腕を掴んでいる
兄貴の手を引き剥がし、

凛をぐいっ!っと押し退け…

先生がオレの前に立った。

背の高さを利用した、

冷ややかな『見下し目線』で
オレを見つめる。

「では、逆に聞くが、

お前の両親は何故、
家にいない。」

「それは……。」

不思議と今まで誰にも聞かれた事のない質問だったし、

オレ自身、
『何故?』と疑問に思った事もなかった…。

「何故、社会的に未成年だった お前と香澄が

たった2人きりで
この家に住んでいられた?」

「…………。」

「お前は、幼なじみである凛の親を
何故、見た事がないのか…」

「……………。」

「全ては、

覚醒前の無防備な
お前を隠す為に、

私達3人が
ヒナタから分けられた力を使って
お膳立てした事だ。

お前の昔の記憶の一部すら修正されたものでしかない…。」