「お前……カイリなのか……?」

オレを抱きしめている腕を掴み、
力を込めて振り払う。

「そうだよ、日向…。

いや…、こう呼んだ方がいいかな?

日向お父さん…」

オレは後ずさりながら叫んだ。

「何で…何でこんな事すんだよ…!!」

「分からないのか…?

お前の力が欲しいからに決まっているだろう。」

クスクスと楽しそうに笑いながら、カイリが指を鳴らすと……。

灰色の景色がボロボロと崩れ去り、

暗闇が広がる。

「ほら、日向…。

これは、お前の大切なものなんだろう…?」

暗闇の中から、人間の白い腕が出てくる…。

次第に頭が現れ……

「……真宵…!」


真宵のグッタリとした身体を、闇が絡まるように支えている…。

意識がないらしく、眠るように瞳を閉じたままピクリとも動かない。