普段なら猫のように気まぐれな先生の行動なんか、
きっと気にしなかった。
だけど、こんな時だから……。
オレは不安になり、自分も廊下に出ていく。
…階段の手前にある和室の襖が開いてる…。
暗い部屋を、そっ…と覗くと……
膝を付き、何かを抱きしめている先生の背中が
廊下の灯りで辛うじて見えた…。
ゆっくり近付いてみて…
先生が何を抱きしめていたのか気付く。
「……先生……。」
オレの声に、先生の肩がビクッ!!っと震える。
和室には…カイリの物が沢山置いてある。
先生は……カイリの小さな洋服を抱きしめていたんだ………。
「………来るな…日向………。」
弱々しく拒絶する先生の言葉を無視して、横に膝を付き………。
抱きしめている服を…そっと撫でる。

