「何だか長いようで、短い日々だったなぁ…。」

寂しそうな顔をしながら誠さんはオレに、
朝顔の鉢植えの入った袋を手渡してくれる。

今日はオレ達6人が、自分の街に帰る日。

昨日の夜は誠さんと勇武が計画してくれた

『サヨナラなんか言わないんだからっ!…また来なさいよね!!会』
で、盛り上がった。

しかし…
誠さんのこのネーミングセンスは、ホントに……。

「大変でしょうけれど修行、頑張って下さい。」

兄貴が手を差し出すと、勇武は真っ赤になってから、両手で握りしめる。

「香澄さん!!
自分…頑張ります!!!!」

「ええ。
それから家の方にも是非、遊びに来て下さい。

勇武君が好きなバナナパウンド焼きますから。」

ニコニコと勇武の手を握る兄貴の顔を見ている内に、
ふ…と気になって彼方先生の方に顔を向けると……。

「あれ………。」

「…何だ…日向。」

…不機嫌になってる様子はないな…。

未来がオレに近づき、こっそり耳うちする。

「香澄の事ー、完全に信用しましたー
って感じで余裕が出たんじゃない?」

……なるほど……。