「日向君………」

香澄は溢れだした涙を指で、そっと拭う。

肩に手を置かれて振り向くと、優しい瞳で日向を見つめ、
微笑んでいる彼方の顔が涙で少しだけ滲んでみえる。


…日向は歌い続ける。

2人の騎士の力の源である風と水と…

そして、ここにある全ての自然と共鳴し、共に幸せを刻み歌いあう…。

生きている喜び。

心からの感謝、そして全ての生命への祝福を………。


…丁度その時、残りの3人が森の中から姿を現す。


突然、自分から離れて行った主式神に驚き、

『何かあったのでは…』と、日向の身を案じ、狐矢太の後を追う形でこの場に来た真宵と、

彼に話を聞き、後に続いた未来と凛。


彼らも香澄達同様に、

今、日向の歌がもたらしている素晴らしい『奇跡』を目にしたのだった。