オレも兄貴達みたいに歌いたい。

心から、そう思う。

この綺麗な場所で、水や風。

それだけじゃなく、ここにある全ての命と。

オレは、周りに満ちている清らかな気を体の中に取り入れるみたいに…

肺一杯、空気を詰めて、
声と共に吐き出した。


…オレの歌声に共鳴するかのように…。

兄貴達を囲んでいた水と風が、今はオレの体の周りに集まり、踊るように跳ね回っている。

なんか…RPGとかに出てくる魔法のエフェクトみたいだ…。

なんて事を頭の片隅でちょっと思う。

この滝の前で初めて歌った時もそうだったけど…

歌う事って、こんなに気持ち良くて、楽しい事なんだ……!!!

ケーン…!!

いつの間にか狐矢太がオレの側に来ていて、何だか嬉しそうな声で鳴き出す。

そっか、お前も一緒に歌いたいんだな。