「………。」

先生が立ち上がり、瞳を閉じる。

右手を上げ、すっ…と横に振ると………。

滝の一部が一筋の曲線を画いて、先生と兄貴の体の周りをクルクルと周り始めた。

気が付くと、しゃがんでいる兄貴も瞳を閉じ、

両手をふわり…と広げる…。

森から、空から。

風が兄貴の周りに集まり、周りの水を巻き込み、綺麗に弾かせる。

凄い……!!

まるで、2人は水と風と歌ってるみたいだ…!!

「日向君…。」

兄貴が目を開けて、優しい笑顔でこっちを見ていた。

「日向君、聞かせて下さい。

あなたの歌を。

…懐かしい、あの曲を。」