「日向君ー、電話ですよー!」

階段から兄貴の声が聞こえて来た。

電話…?

「はーい。」

階段を下り、リビングに居る兄貴から子機を受け取る。

「…誰から?」

「出れば分かりますよ。」

……?

保留ボタンを押して、
耳に受話器を軽く付ける。

「代わりました、日向です。」

『こんにちは、日向。』

かけてきたのは、真宵だった。

『早速なんだけれど、
日向は、明日から何か予定はある?』

明日から?

なんか漠然としてるけど
とにかく何も考えてなかったので、そのまま伝える。

『そう、それなら良かった。

俺、明日から少し山の方に行く予定なんだけれど

もし良かったら、一緒に行かないかなと思って…。』