夏の部活動ってのは
ほんっと!!辛い!!

こんな時は、
勧誘に負けずに
帰宅部にしとけば良かったと………。


「そんな事より!!
彼女って どーゆー事だよ!!!
まさか、お前……!!」


「バカかっ!!
お前にいないのに、
オレに出来る訳ねーだろ!!!
兄貴の話だよ!!」


「なんだ…脅かすなよ………!!」


オレに抜け駆けされなかった事に、よほど安心したのか、
隣で同じペースを保ちつつ走っていた
凛は大きく息をはいた。

………。
だけど、ちょっと待てよ?

「つーかさ、凜は??
どーすんだよ」

「俺??どーするって???」

「お前、昨日の帰りがけ、また…こ、告白されたんだろ!!」

「ああ……。
あの事か………」

凜は小学校の時から
なんと10年間!!!

驚きの確率でオレと同じクラス。


小、中学だけなら まだしも、
オレらが通う高校は別に
中学の附属な訳でもないのに……。


その上、部活まで一緒、
家まで隣…

となると、

もはや「奇跡の腐れ縁」とでも言うしかない。


「さっき、付き合う気はないって はっきり断って来た。

今は他人に構っている暇は無いから。」

短く切った髪の毛を
右手で掻き回しながら
さらりと言ったよ!!
コイツはっ!!!

大体!!
凜といい、
兄貴といい!!!!

オレの周りのやつは、
何で こんなに顔のいいやつばっかなんだっ!!


兄貴が、優しいふわふわ美形タイプなら、

こいつは、真面目なスポーツ系美形。

実際、運動神経いーし。なんで文化部所属なんだか……勿体ねーなぁ…。

チビなオレの身長は、この10年間、
一度もコイツを抜いた事ないし、

コイツと帰ると、
よく女の子に呼び止められたりする。

勿論、女の子の用があるのは凜。


そーゆー時は
オレは気をきかせて
一人で先に帰る。

…とか言いつつ、実は その場に 居続ける度胸が無いだけなんだけど…


昨日が まさに その状態だった。