虹色の騎士団

気持ち良さそうな顔をして
日向が、コロン…と寝返りを打つ…。

それを眺めながら、凛は深く溜め息をついた。


寝惚けた日向は、自分の事を『香澄兄ちゃん』と呼んだ。

だから、あんな風に抱きついてきたって事も理解しているけれど…。

…いくらなんでも無防備過ぎる……。

子供の頃は、ただ可愛いだけだったのに…。


気持ちを落ち着ける為、
洗面所に行き、
頭から水を浴びる。

日向に抱きつかれた時は、うっかり理性が飛びそうになり…

ついつい自分も抱きしめてしまった…。

自分の中にある欲望を抑えるのが、
段々難しくなって来るのを感じる………。

日向を抱きしめ、
自分だけのものにしたい……。

そう思う事もある。

…いつから、こんなに欲が深くなったのか…


その夜、凛は とうとう自分の部屋に戻らず、

居間の畳の上で眠りにつく事にした…。


小学生として生活していた時は、ベッドで一緒に眠り、

朝方、香澄に迎えに来てもらっていた。

中学生をやっていた頃は、身体も元のままとはいかないまでも、かなり大きくなっていたので、

完全に眠りについた日向を連れて、上手く屋根を渡り、

自分のベットに戻してやっていた。

だけど…、この世界に来た『あの頃』と同じ、17歳の身体まで、ようやく戻った今。

…今夜は特にもう一度、
あの寝顔を見る勇気がなかった…。