小さい頃は、兄貴と呼ばず、そんな風に呼んでいた。

随分昔に、その呼び方をしなくなっていたけど…。

今、オレは何も考えず自然と兄貴の事を
『香澄兄ちゃん』と呼んだ。

オレより年上なのに、オレよりずっと泣き虫で…

…そして、素直で優しい兄貴の瞳から、
涙が溢れ出す…。

「日向君…日向君…!

…無事で…本当に…良かった……!!」

首に腕を回して抱きつきながら

兄貴がしてくれるみたいに、
何度も何度も頭を撫でる。

「ありがとう、香澄兄ちゃん…」って、繰り返し言いながら…。