虹色の騎士団

「2人共……

いい加減にしてください……!!

…日向君が……。」

彼方先生の腕の中から

兄貴が身体を放し、
いかにもな心配顔で
オレを見ている。

さっきは見えなかったけど、
これまた、
髪と同じく
翠色の瞳……。


兄貴の言葉に、
凛の身体が固まる。

怒りで我を忘れていたのが、
ようやく落ち着いたらしい…。

恐る恐るオレの方に
振り返る。

「…日向…。」

そっと伸びてきた凛の手。

でも、
流石にオレも
混乱してて…。


肩を掴まれる前に、
必死で後ずさる。


「日向君……。」


飽きたような表情をする
彼方先生と違い、


兄貴も凛も
悲しそうな顔で
オレを見つめていた。


そ、そんな顔されたって…。

今、目の前で何が起きてるのか
ハッキリしてないのに、

訳分かんない変化遂げた
コイツらに
あっさりと
拉致される訳にもいかねーし…!!


「何なんだよ!
お前ら!!」

ガッシリとした食器棚を
掴みつつ、

そう叫んでみたはいーけど、

自分でも
「間抜けな質問」してるなぁ…。


でも、
他に適当な質問ないし…。

「見た目は…
少し違いますが、
大丈夫…。

勿論、貴方の兄さんですよ…。」


オレの間抜けな質問に
呆れる事なく、

兄貴が労るように
優しい声で答えてくれた。

「日向…。
俺は…」

再度、
凛が おずおずと手を
伸ばしてきて…

もう2、3歩
後ずさろうとした時、

思わず
痛めていた足に
思い切り力を入れてしまった。

「!!!」

傷口が痛み、

その拍子に、
反対側の足を床につけて、
しゃがみこんでしまう。


「日向君!」

「日向っ…!」

慌てて、
側にいた凛が

オレを支えようとする。

「さささ触んな!!

オレは、まだ お前らに
心許してねーかんなっ!!」

噛み付くような勢いで
凛に向かって叫ぶと…。

あ…。

凄く傷ついた顔してる……。