虹色の騎士団

芽吹く春の若葉のように…。

兄貴の柔らかい髪が、


みずみずしい翠色に変わった。


それを満足げに
眺めつつ。

彼方先生は、

長い髪をほどき、
うっとおし気に
軽く頭を振るった。

流れる水のように、
サラサラと
髪の色が変化する。

暗い深海を思わせる
ディープブルー。

挑戦的な光を浮かべる
瞳の色も深い青。


こうして、
オレの前にいたはずの
「いつもの３人」は、

いとも簡単に
オレの
「宇宙人乗っ取り説」
を濃厚にしていってくれた…！

そんな大変な状況の中、

手品のように
髪の色を変化させた
３人を見て

何となく、
「どっかねバンドやってる奴等みてーだなぁ…」

なんて思えるのは、

何だかんだ言いつつ、
オレに、まだまだ
余裕があるのかな…？


うん…
確かに、日本人離れした
髪色してるとはいえ、

一応、
オレの知ってる３人の
外見には
大きな変化はないし…。


これが、
凛の体を破って

ベトベトしたエイリアンが出現した。

なんて事になってたら
迷わず
一目散に逃げるけど。


…まあそれも、腰が抜けてなければの話かな…。

もしかしたら、
３人が
オレをはめようとして、

大芝居打ってるのかも…。


もしかして、
オレの知らない間に
ＴＶ局とかの企画に

兄貴達が協力する事に
なって、

こーしてる今も

間抜けなオレの様子を
バッチリ収めようとして、

壁の小さな穴から
高性能の小型カメラが
狙ってる…

とか。