何処で広まったのか
兄貴のPCのメルアドを知った奴らからのメールを

困った顔しながらも
律義に目を通し、
一人一人に返事を送っていた
高校時代の兄貴を姿を
オレは見てたし。


「オレに気を使ってんなら、先に言っとくけど、

彼女いるならさ、家に連れてきていーんだぞ?

兄貴の好きな人なら、オレ、仲良くするしさ。」


部活でヘロヘロになって帰ってくるオレの為に、

毎日、
オレ好みの ぬる目の お湯を
たっぷりはった風呂を沸かしてくれたり、

栄養バランスを考え、
ボリューム、味ともに
抜群の食事を用意してくれたり。


親がわりになって頑張ってくれてる
兄貴に対して、

不出来な弟としては
その位しか出来ないからな…
なんて思っての発言だったんだけど。


兄貴は、こっちが呆れる位、動揺しまくって、

箸は落とすわ、みそ汁 こぼすわ……


「何て事を言うんですかっ!
兄さんは…
そんな事は………!!!」

…なんか見てて可哀相な程、
オロオロするもんだから、

すっげぇ悪い事 言った気になってきた……。


オレは、
調度いい温度になった飯の上に
ふっくらとしたハンバーグを 一欠け乗っけ、

テーブルの角に体をぶつけたりしながら
慌てて、台所の ふきんを取りに行く
兄貴の背中を眺めた。



………………………………

「彼女位、作ったって
いーと思うんだけどなぁ…。」

「彼女って…

まさか、お前がっ…?」

オレの言葉に
素早い反応を見せて、

凛(りん)が話に乗って来たのはいーんだけど…。

「お前らっ!
真面目にやらねーと
もう一周追加すんぞ!」


あんまり大声だすもんだから、
グラウンドの端から
ホルン担当の先輩に怒鳴られる。


「おっまえ!声 でけーよ…!」

ただでさえ、この暑い中のマラソンに加え、

この後、地獄の腹筋トレーニングがあるんだし……。

これ以上、ノルマを増やされるのだけは勘弁してもらいたい……。