虹色の騎士団

突然、台所から
何かを取り落としたような
大きな音が響き渡り、

「ま、待ってください!!
彼方…っ!!」

続けて、
兄貴の焦ってる感じの声が
リビングまで聞こえて来た。


考えるより、
足が先に動く。

今のはただ事じゃない!

「兄貴っ?」

オレは
慌ててキッチンへと
走り込み……


「とんでもない光景」を
目にしてしまった…


キッチンのコンロ前。

床には、兄貴が
落としたらしい

ガラス製の重たい鍋の
蓋が、

まだ、軽く その場で
左右に揺れている。

鍋から溢れ出す
暖かい湯気が
一杯に煙る中…。

苦しそうに…

いや、
むしろ切なそうに
顔を赤らめる兄貴。

その兄貴を後ろから
抱きしめ、

その首元に、
自分の唇を這わせる
彼方先生。

「か…なた…!!
今は……、
まだ…だ…めです…!」

「どうせ、すぐに
理解する事だ…。

今は、それより……」

彼方先生の左手が、
兄貴の服のボタンを
器用に外し、

胸元を
はだけさせ、

唇が、首元から
露になった鎖骨へと
移動する。


……………………………………………。

「な、なんじゃ
そりゃーーーー!!!」


そこまで見て。

あまりの事に
フリーズしていた
オレは、

ようやく
「目の前の、この現状」
に、
「自分的」に最も
相応しいと思う言葉を
叫ぶ事が出来た。


なんじゃそりゃ。

正に、これだよ!!