正面を見ると、ぶつかってきた人が、オレみたいに支えてくれる相手も居ないまま、
地面に思いっきり
突っ伏してるのが見えた。
「す…すいませんっ!」
助け起こそうと駆け寄った時、
自分で立ち上がった男のシャツの下から、
大量の漫画のコミックが
バサバサっ!!!
っと音を立てて、足元に落ちてきた。
「そ、その男、捕まえてーっ!!!
万引きですーっ!!!」
向こうの本屋から、
店員さんらしき女の人が叫んでる…。
……え…?
万引き…?
…………。
ええっ???
あたふたしてる
オレの横を、あっさりすり抜けて
男が走り出した時……
「しゅっ……!!」
しゅっ…?
空気の漏れるような音が、
聞こえた…と思った瞬間、
オレの横を再び、男が通り抜けた。
……ただし、今度は
何かに吹っ飛ばされたような形で……。

