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クラッチを引き上げ、
エンジンを止める。

駐車場から少し歩くと、

人混みの中にいる香澄の後ろ姿を見つける事が出来た。

香澄は、知らない男に
腕を掴まれながら、
何か話こんでいる…。

「いえ…あの…

熱心にお誘い頂いてるのに
本当に申し訳ないのですが、
本当に人と待ち合わせしている所で………。」

「またまたー!!

さっきから誰も来ないじゃないー!!

ね、いーじゃん?

こんな所で、
ただぼー…っと立ってるより、

ちょっと
一緒に来てもらえれば楽しめるんだから!!

ね??

…キミみたいに綺麗な男の子なら………」

彼方は、声もかけずに
香澄の後ろに立ち、
右手で腰を引き寄せ、
背中から抱き締める。

「…え……??
か、彼方っ…?」

「な、何だよ!!お前!
いきなり割り込んでくんなよ!」

唾を飛ばして怒鳴る男に見せつけるように

きつく香澄を抱きしめ、
彼方は言い切った。

「これは、
私の所有物だ…。

他人が勝手に触るな。

…不愉快だ。」