自宅に帰って来た彼方は、

首元からネクタイを引き抜き、パソコンの電源スイッチを入れる。

起動音を聞きながら
ファイルケースを
ソファーに
ほおり投げた時…

止め金が外れ、
書類と一緒に
可愛らしい封筒が床に落ちた。

それを見た彼方は、溜め息をつき呟く。

「…またか。」


携帯のアドレスを聞かれても、
冷たくあしらい続けていた。

所が最近…。

そんな彼方に対して、
生徒達が新たなアプローチ方法を取り始めたらしく、

自分が保健室から退出している時を狙っては、

手紙をファイルケースの中に入れられる事が増えて来ている。

全く…前向きなのか、
アナログなのか。

どちらにしても、
自分には関係ない事だ…。