次の日の朝。

いつも門の前で
オレを待っているはずの凛の姿が見えない代わりに…

「日向ー、おはよー♪」

襟元のボタンを2つ程外した白いシャツに
細身のジーンズという
ラフな服装に、

黒いシンプルなエプロンを着けた未来が

にこにこと手を振っている。

「朝から、日向のー
かわいー顔見れるとー、

何か凄ーく良い事、
ありそーだねぇ…♪」

近付いて来て、
オレの頭を撫で始める。

「あれ…?凛は?」

「あー、
それがねー…

昨日、
あのままベットに寝かせておいてー、

夕食前に起こしに行ってみたらさー


顔、赤くしてウンウン唸っててー…」

つまり、それは…。

「どーやら、
風邪引いちゃったみたいなんだよねー。」

凛が風邪…。

「珍しー…!」

思わず呟くと、
何故か未来は
うんうん頷き、

「鬼の撹乱、ってやつだねー。」

…未来って長く外国に住んでた割に、
色々と古臭い言葉、
知ってるよな…。

「…つーか、お前
が凛の家に来てから
まだ2日じゃん…。

なんで、アイツの
風邪が珍しいって分かんだよ……。」

「えー?
そりゃ、わかるよー。

凛ってー、
いかにも
健全スポーツ青少年!って感じでしょー。

そーゆー子は、
あんまり病気しないものだって決まってるよねー」

……決まってるかどーかは知らないけど、

確かに、
ハズレじゃないな…。