「ひ、日向君っ!」

凛に連れられて

ほんの少し
足を引きずりながら
帰宅したオレを見て、

兄貴は青くなった。

「大丈夫。
ただ擦りむいただけだって。

…ちょっと歩きにくいけどさ…。」

安心させる為に
制服の裾を捲り、

軽くテーピングされた
足を見せる。


「その処置は…
彼方ですか?」

オレが、首を縦に
こくり!っとすると、

「そうですか…。」

安心したように
兄貴は、深く溜め息を
ついた。


オレからすれば、
「あ・の・」サディステックな彼方先生の処置と聞いて、
安心出来る方が
不思議だけどさ…。


「取りあえず、
凛君も、上がって下さい。
皆で
お茶でも飲みましょう」


リビングのソファーに
座り、
ようやく一息いれる。


何だかんだ言っても、
この足で
家まで帰ってくんのは

思ってたより疲れた。


凛だって

オレを気遣いつつ、
ゆっくりゆっくり
ここまで歩いてきたんだ。

平気な顔してるけど、
もしかしたら、
オレより
足が長い分
慣れない歩き方して疲れてるかも…。

「さあ、どうぞ」

兄貴が
それぞれの好みに
合わせた飲み物を
作って、

ローテーブルに並べる。


ちなみに、
オレのは
砂糖入り、
冷たいアップルフレーバーティー。

凛には、
冷たいダージリンのストレート。

兄貴は、
あったかい
アールグレイ。