虹色の騎士団


そのまま先生は、兄貴を抱えて
スタスタと歩きだす。

慌てて付いて行くと、

しばらく歩いた先にあった公園に入り、

兄貴をベンチに
そっ…と下ろした。

追い付いたオレ達は
2人同時に怒鳴る。

「彼方さんっ!!」

「どーして、オメーは
人前で あーゆー行為を平気ですんだよっ!!」

オレ達を無視して、
先生は

何処かに向かって
1人で歩いて行ってしまう。

「彼方さんっ!!!!」

「いいんですよ、2人共………。」

兄貴が、
ゆっくり上半身を起こそうとして、

ふらり…と背もたれに崩れかかる。

「香澄さん…!」

凛が素早く、腕を掴んで
支える。

「兄貴、大丈夫か?」

「ええ…。

力の受け渡しをした訳じゃないんですが…。

ちょっと、胸が苦しくなってしまって…。」

…そりゃ、結構、長かったからな……。

「正直、
僕も困ってましたし、

どんな形であれ、
彼方は僕を助けてくれたんですよ…。」

「いやいや!!
他にもっと やりようあるだろっ!!!」

「……無駄な説明を省いたまでだ。」

振り返ると彼方先生が、戻って来る所だった。