うわぁめんどくせぇ…。
フェンスの上にすわってるってだけでなんで自殺になるんだよ。
この人はもっと他の考えがないのかよ…。

フェンスからおりて地面に座ると
同じように相手も地面に座った。


「別に私自殺する気なんてないし
そんなに困ってないし、ただ単にフェンスの上にすわってただけですよ」

「…え。じゃあ俺の勘違いだったってこと?
うっわ、はずかしぃぃぃ……」


照れ臭そうにその場でうずくまるのをみて
ついつい私は笑みがこぼれた。


「でも、ありがとうございます心配してくれて。
優しいんですね」


彼は真っ赤な顔をあげると少年のような笑みを私に見せた。




その頃多分私はその笑顔にやられたんだと思う。
もちろん今だって私はその笑顔に弱いよ。
透き通るような無邪気な笑顔。
裏がない喋り方。
着崩した制服の首元から見え隠れするごついネックレス。
低くも高くもない声。
いつみても慣れない彫刻のように整った顔。

私はいつだってはるきを信じて生きてたのに…。




ねぇはるき、


あの女の人は誰なの?