―ガッ
頬を殴られて後ろに倒れこむ。
その拍子で飾り付けをしていた棚があっけなく大きな音を立てて崩れていく。
あーあ、せっかく可愛くできたのになぁ…
そんなことを考えながら痛みを受け入れる。一方的に。
もう、彼が何を言いたいのかすらわからない。
何も聞こえない。何もわからない。
唯一わかるのは彼氏に頬を殴られ続けて痛いということだけ。
真咲が帰ったら片付けしなきゃな
私はそっと意識を手放した。
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「ん、…」
確か床の上で眠ったと思うんだけどな…
多分、真咲が運んでくれたのだろう。
彼は暴力の後は決まってすごく優しいのだ。
どうせならベッドがよかったけど
ローテーブルの上に何か紙があるのに気が付き、身体を起こした。
―ズキ
「う…っ」
躰が痛い。ズキズキと軋む。
頬だけかと思っていたら、他の所もらしい。
痛みに耐えながらメモを見てみると、
「 ご め ん な 」
まるで書道の先生のような綺麗な字でそう書かれていた。
相変わらずきれいな字だと感心しながら、迷わずゴミ箱へ落とす。
時刻を確認すると、針は既に12を指していた。
お風呂、入らなきゃ…
また痛む身体を動かして、風呂に入る。
鏡に映る自分の裸体を見て、気がめいった。
躰中のアザ。
見ていないフリをして、風呂を出た。
また、明日も、
歪んだ愛を、
受け入れる
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