冷ややかな声が響くと同時に赤黒く染まった空から光が差し、その光から刃が生まれ、妖に向かって降り注いだ。


「ぎぃやぁぁぁぁ!痛い、熱い、もうしないから許してくれぇ。」


無論、やめるわけがない。せめて安らかに眠れるように彼女は妖の額に手をつけて、


「祓いたまえ、清めたまえ、悪しき魂を滅せよ。」


妖は断末魔をあげ、粉となり消えていった。雲が晴れ、空に明るみが次第に戻った。


「あっ、あの!」


彼女の近くには先ほど襲われかけていた少女が来ていた。まだ恐怖が残っているのか手が少し震えていた。


「…どこも怪我してない?怖かったね、
大丈夫?」


そう言って彼女はしゃがんで少女の頭を撫で、抱きしめてあげた。少女も安心したのかまた泣き出した。