「ねぇ!葉月ちゃんは野球好き?」
「え?…野球ですか?…」
野球かーやったことも、見たこともあんまりないなー
「いや、あのーあんまり良く分からなくて…すみません。」
「そりゃーそーだよね!女の子だもんな!悪ぃ!」
そう言って私達は部室を後にした。
一通り案内したけど、あとはどこを案内すればいいのかな?
そう思いながら教室に戻ろうとしていた。
「ね!屋上ってどっから上がんの?」
「屋上ですか?えっとー…確か……」
どこだっけ?屋上……。
あまりって言うか、全然行かないから記憶が曖昧だなー…。
そう思いながらも記憶を絞り出しながら屋上へ向かった。
「あ。ここですね!」
ちょっと道を間違えながらもようやくたどり着いた。
「おぉー!!屋上!」
ってテンション高めの松藤くんはドアを開けて、子供っぽい感じではしゃいでいた。
「屋上の道そんな覚えてなかったっしょ?それなのに案内してくれてサンキュな!」
「あ。いえいえ…すみません。ちょっとうろ覚えだったので…」
そう言って俯いていた顔を上げたら目の前にいたはずの松藤くんの姿がなかった。
えっ!?…あれ?どこ行ったんだろ…。
辺りをキョロキョロと見回していると…。
「こっちこっち!上上!」
声がする方を見てみると、はしごみたいな所を登っている松藤くんの姿があった。
「葉月ちゃんも登って来てよ!」
高所恐怖症の私には屋上の時点で少し怖いのにその上となると、さらに怖い…。
でも、行かなきゃだよね…?
私は少し躊躇しながらかも、小さなはしごを登った。
「はぃ!ここ座って!」
松藤が小さなベンチに腰掛けて、隣をぽんぽんしながら呼んでいた。
そこに座った私はものすごく感動した。
「わぁー!綺麗!」
そこから見た景色は今まで見た中で一番綺麗だった。
桜の並木道、近くを流れる川、その川に繋がってる海、そして綺麗な青空が見渡せた。
