手に箒を持った知らないおばあちゃん。

掃除してたのかな?

「雨宿り。学校行きたくないからサボってるところ。」

やだ。なに堂々とサボってる事言ってんだろ。

「そうかいそうかい…何か嫌なことでもあったのかい?」

特に怒る様子もない。

年寄りって学校行きなさい!とかすぐ怒ると思ってた。

「ううん。ただ雨降ってきて傘無かったしもともと行く気も無かったから。」

見ず知らずの人に、馬鹿みたいって思うのに何故か安心するなぁ…。

「そうだ、掃除してるなら手伝うよ!」

「優しい子だねぇ…。だけどもう終わったから大丈夫。ありがとう。」

来た時は気にしてなかったから分かんなかった。

地面には殆ど落ち葉なんてないし紫陽花も伸びすぎたり枯れているものは一つもない。

「おばあちゃん何時から掃除してたの?」

「毎日7時からかのぅ…。」

7時から9時まで毎日。

こんなに素敵な場所になるのはきっとおばあちゃんのおかげ。

「だったら私もサボりたくなったらここに来ようかな。」

「困った子だねぇ…。」

おばあちゃんは本当に困った顔でやれやれと笑ってもうすぐご飯の準備をするからと帰ってしまった。

蒸し暑いと思っていた体から熱が無くなって一瞬肌寒く感じた。