流れる景色…しかし冬哉の眼には先のキッカーだけをしっかりと見つめていた。

キッカーの手前10メートル〜からスピードを調整しその先を見つめる…

キッカーのティクオフポイントから板が半分くらい出たところで上半身を肩からひねり出し飛び出す。




…一瞬。





…時間が止まったような感覚。





…ゆっくりと銀色の景色が次々と飛び込んでくる。





冬哉の下の道路では勇太と姫華がガッツポーズをしている。

緩やかな横の回転が終わった時、雪は冬哉を優しく包み込み……興奮のあまり豪快なスプレーを巻き上げた。

…早朝の陽の昇りかけた山に3人の歓喜の声が響き渡った。

お揃いの3本の真っ白い板と『地摺商会(仮)』と描かれた板を空へ高々と掲げて…