「君が気になるって言うなら、ちょっとは話してやってもいいけど…気になる?」
急にニヤッと笑い、俺に近づいてきた。
「あ、あぁ…。突然の事で戸惑っている。わかるように、説明してくれ。」
すると、透はクスッと笑い、壁によっかかって話し始めた。
二重人格、これは、その人に何か辛い事があったとき、その思い出を忘れ逃げたいときにもう1つの人格が生まれる病気だそうだ。
透という人格ができたのは10年以上も前だそうだ。
特に透が表になる時は、橘さんが泣いた時や、何かを思い出した時らしい。
そして、1つ不思議な事は、透は全ての時間、記憶があることだそうだ。
普通、自分が表に出てない時は記憶がないか、あやふやなものだという。
けど透は、言葉を発せられない、体が動かないだけで、橘さんが見た記憶ははっきりと透にも残り、わかるらしい。
けど橘さんは、ある日すっぽりと記憶がなくなっている事に気づき、病院で診断して、透がいることをその時初めて知ったため、透が表に出ているときの記憶は全くないそうだ。
そして、橘さんは透と話せない。
脳内会議という、人格同士で会話することができるらしいが、橘さんと透は全くできない。
そこで橘さんは交換ノートを作り、毎日欠かさず透と一冊のノートで話しているそうだ。
「あとは、僕の意思で表に出れたことぐらいじゃないかな。」


