「どうして、泣いているんすか」
まだ表情を見せない橘さんに、そう訪ねた。
ここは裏庭。誰もこないので、ここに連れてきた。
橘さんの声はかすれていて、先程肩に触れたら少し震えていた。
「あ、すいません。デリカシーのない質問っすよね」
橘さんは呼吸を整えると、首を横にふった。
「いえ、大丈夫です…」
そう答え、やっと手を退かした。
見えた表情は、無表情に近く、凛としていた。
潤った赤のかかった瞳は反射し輝いている。
その瞳から、一筋の透明な涙が流れていた。
そして、ゆっくりと口を開けた。
「どうかな、僕の泣き顔は」


