夜蝶と書いて[みるく]と読む


まだ開店前の店におそるおそる足を踏み入れると、オーナーっぽい人が奥から歩いてきた。


「百莉ちゃん?」

「はい」

「寒かったでしょ?とりあえず座って!」


優しそうなオーナーさんは、寒い中来たあたしに温かい飲み物を出してくれた。

たんたんと話は進み今日から働くことになった。


「源氏名決めないとね!」

「源氏名...」

「そう、何にする?」


しばらくの沈黙が流れた後、あたしの
言葉がオーナーさんとの静寂を切る。

「みるくで」